【全11回】革新を創造する。次世代経営者とビジョン⑦

<連載第7回:チャレンジと困難③>

インターネットの発達によって産業構造が大きく変化している時代の中で、経営に求められるものも同様に大きく変わってきています。そんな中、注目を集める次世代経営者の方々はどのような考えでイノベーションを起こそうと努力されているのでしょうか。

2017年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット2017 Winter」にて、有限会社一平(九州パンケーキ)村岡代表と株式会社BAKE 長沼会長にそのお考えや目指すビジョンについてお話を伺ったパネルディスカッションです。


スピーカー

有限会社一平 代表取締役 村岡 浩司 氏
株式会社BAKE 会長 長沼 真太郎 氏


モデレーター

株式会社ファームノートホールディングス
代表取締役 小林 晋也


<1つ前の記事はこちら>

<長沼氏>
その理由としては最初からそうなんですけど、何か作るときに隣にいないと本当に伝わらないというか、スピーディーに対応できない、デザインをする人に心がこもらない、本気度が違うと思っています。ただ、ハードルは高いですよ。集めるっていうのはすごい大変でした。

<モデレーター:小林>
採用が難しいですもんね。

<長沼氏>
産地っていう概念だとどうなんですか?
たとえば原料を調達するときの調達先だとか、どこかの農場とやるとか。

<長沼氏>
ザクザクっていうシュークリームの牛乳は、厳選した契約農家さんから、牧場で絞ったものを送ってもらうとかしています。

<モデレーター:小林>
村岡さんとかはどうですか?

<村岡氏>
僕らは基本的に全ての原料を九州内に限定して、極力トレーサビリティ可能な状態にしています。九州全体を一つの共同体として捉える感じでしょうか。

ところで、僕らのような地方都市でビジネスをやっていると「どうやって世の中に見つけてもらうか」っていう悩みがあるんですよ。

宮崎って2010年に「口蹄疫」という牛豚の伝染病があって、牛と豚を殺処分っていうのを何十万頭もやりました。これは農業だけの話だけではなくて経済全体が麻痺したんですよね。
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(左:左:村岡氏 右:長沼氏)

宮崎は観光で食べているのに、県下に「非常事態宣言」が出てほとんど観光客の姿を見なくなりました。沢山のゴルフ場があるのに、ほとんどのゴルフ場が予約ゼロになって、ホテルの稼働率なんかも激減しました。うちのお店も宮崎市内にドミナント展開をしていましたから、お客さんがいきなり半分になったり、6割減になったりして、キツかった。

こういう自然災害があると、いきなり経済循環が止まりますよね?そんな厳しい状況の中で、新幹線も無いような、昔から「陸の孤島」と呼ばれる宮崎だけでビジネスをしていたらこの先は生きていけないと感じるようになりました。こういった自然の厄災がきっかけで九州パンケーキミックスの開発を始めたんです。

とはいえ、僕らにとっては初めての商品開発でしたから、九州パンケーキブランドの方向性を含めて色々と悩んでいた時に、友人である東京のクリエーターの方達が「村岡さんがおもしろいことやってる」「何か手伝いたい」って言って頂いて、先ほど見て頂いた動画( https://youtu.be/Z1vmuM3P-4I )の制作プロジェクトに繋がっていきました。

ある意味、彼らは宮崎を応援するっていう気持ちもあったかもしれない。でも九州パンケーキっていうコンセプトとかそのものに、何かこう社会現象として九州の中で渦を巻いてく可能性みたいなものを感じ、色々とお手伝いして頂いたって感じです。

<長沼氏>
ちなみにすごい聞きたかったんですけど、九州パンケーキって今海外でも知名度があると思うんですけど、何がキッカケでグッといったのか。何かターニングポイント的なものがあったんですか?

【全11回】<連載第8回:海外への事業展開>

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