【全3回】テクノロジーが拡張する、生産者の観察力②

<連載第2回:アルゴリズムによる疾病兆候の検知>

株式会社ファームノート プロダクトマネジメントチーム
獣医師 平 勇人

<1つ前の記事はこちら>

アルゴリズムによる疾病兆候の検知

われわれは、これまでFarmnote Colorという牛の頸部に装着する加速度センサーを提供してきたが、今回、これまでに取得した数万頭分の牛のデータを利用して、疾病時に見られる特有の行動を検知するアルゴリズムを開発した。そのアルゴリズムを用いて実際の生産現場での検知状況を人による目視での観察結果と比較調査した。今回の調査結果(表1)は、ある農場において目視による疾病兆候の発見に対して、アルゴリズムによる疾病兆候検知の有無と検知日時、目視確認の日時について調査したものである。

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(表.1:アルゴリズムによる疾病疑いの検知結果)

今回の調査では期間中にアルゴリズムおよび目視による疾病の発見は29件であった。そのうち14件がアルゴリズムによって検知され、うち10件は人の目視よりも早く検知し、平均22.9時間早く検知し生産者に知らせることができた。また、治療を実施しなかった8件のうち5件は分娩後の一時的な体調の落ち込みで、自然に回復したものであった。

一方、人による目視のみで発見できたものは7件であり、これらはアルゴリズムでは検知できなかった。この中には血乳や外傷による乳頭損傷、全身症状を伴わない乳房炎も含まれ、牛の行動にまで変化を及ぼさない疾患であったため検知できなかったと考えられた。上記の調査から、牛に装着する加速度センサーによる24時間連続での行動分析によって、牛の行動に変化を及ぼす疾病には、人による観察よりも早くその兆候を検知し早期治療に繋げられるものがあることがわかった。

<連載第3回:Farmnote Color導入事例>【終】

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