【連載】地方の再創造。社会課題に挑むリーダーの挑戦④

<連載第4回:課題先進国とは?>

地方創生という言葉はよく耳にしますが、実際はどのようなものなのでしょうか?地方自治体やコミュニティと協力し、地域社会の維持と活性化、社会課題の解決に向けて挑戦していらっしゃる講師にお話を伺ったパネルディスカッションです。


スピーカー

オフィス・コロボックル代表
熱中小学校用務員
堀田 一芙 氏

一般社団法人リディラバ代表理事
株式会社Ridilover代表取締役
安部 敏樹 氏


モデレーター

株式会社ファームノートホールディングス
代表取締役 小林 晋也


<1つ前の記事はこちら>

<モデレーター:小林>
課題先進国という、新しい言葉がでてきました。

<安部氏>
特に日本の特殊課題ってなにが面白いかというと、例えばアメリカに行くとやっぱりアメリカって人種問題なんですよ、まず一番大きいのが。そのあとに銃問題とかそういうのがきたりするんですけど、国民みんなの納得するイシューがあるんですよね。

おなじくヨーロッパとかいくとフランスとかドイツとか、やっぱり移民問題ですよね。

日本でそういうみんなの納得する一つの大きな課題があるかっていうと、そうでもない。
高齢化はもちろん問題なんですけど、やっぱりこの国はある程度均質な人たちなので、問題が多様化しやすいんですね。でもそれ社会問題という観点から言うと、とても先進性が高いんです。

世界がフラット化してくるのであれば、割と日本みたいに問題が多様化するはずなんですよね。
となると日本のモデルって世界に輸出できるはずで、成長産業になるんだけど、そういう認識を持って投資をしているプレイヤーとか実際に事業活動している人っていない。

<モデレーター:小林>
なるほど、わかりました、ありがとうございます。
実は一個目のディスカッションが事業を起こしたキッカケを聞こうと思ったんですけど全部聞いちゃったんで次行きますね。

そのイシューの矛先を地方とか農業とか、地方と農業って切っても切り離せないものだと思いますし、漁業もそうですけど広義な意味で地方が抱えている問題だとか、何かこうやったらうまくいくんじゃないか、みたいな。ざっくりとしたことでも構わないのでそんな話をできればなと思っています。

投げかけとしては、北海道の人口増加ランキングみたいなの調査すると4つか5つくらいしかでてこないんですよ。要は札幌圏でしか人口が増えていなくて帯広は減り続ける、旭川は減り続ける。2050年の人口ってなったときに全部減るんだけど札幌だけは残っているという。

そういう一極集中みたいなのが北海道の中では課題かなと思っているんですけど、それを解消していかないと地方から人がいなくなっちゃうよねっていうところもあるんですが、そもそも地方って人がいなきゃいけないの?っていう問題があるかもしれないですし。

どういう視点で物事を見て、それを問題と考えるのか問題ではないと考えるのかということもあると思いますし。いろんな視点があると思うんですけど、ざっくりと安部さんが社会課題の目を向けられているポイントからでもいいですし、堀田さんのように熱中小学校をやりながら見えてきたものでも構わないのでこんな話ができればなと。

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<堀田氏>
いま北海道の話が出ましたけれども、一番の問題は東京一極集中だと僕は思うんですね。
それを違うと思う人もいると思うんですけど。名古屋とか大阪も減っていますよね、札幌もそうかもしれませんけども。

どうしても東京に出てくると、お金が必要なんですよ。そういう生活なんです、東京の生活って。
だから女性が「私の旦那さんは400万以上年収がないとダメよ」なんて言っても、そんな人20代では沢山いるわけでもないので。

ただ地方はまだ少ないかもしれないけど大家族もあるし兼業もあるし土いじることもあるし。
いわゆる可処分所得という意味では大きいんですよ、実は。それが段々感じられるように若い人たちもなってきてるんじゃないかと僕は思うんですよ。
私自身は横浜に住んでいるんですけど、小さな農業っていうか自活していて。

<モデレーター:小林>
先ほどお聞きしてびっくりしました。

<堀田氏>
蜜蜂を飼って、売ってるんです。熱中通販っていうのをやってます。

植物の分布、あと蜂ってものすごい重要なんですよ。インフラなんですね、蜂がいないと実がならない。
農業もそうだと思うんですけど、例えばマタギであれば鹿をこっちの山にやっておこうとか、バランスをとる仕事なんですよね。

私はそういうマタギの精神にとても感激して都会のマタギになりたいと思って、そういう生活をするようにしているんですね。私から見たら、もし日本全体をマタギがみたら東京一極集中の弊害がでているんじゃないかと。これはバランスを少しとるべきじゃないかという風に思っているんですよ。

<連載第5回:都会が人の意欲を搾取している?>

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