2018.07.05
昨年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット 2017Winter」ですが、ご来場を頂けなかった方々からのご要望にお応えし、一部の講演プログラムの内容を連載形式にてご紹介したいと思います。
本講演は酪農・畜産それぞれの領域でご活躍中の獣医師の先生に、牧場経営にて重要となる「繁殖管理」に関するお話と、ご来場者さまの質疑応答にお応えしたプログラムです。
株式会社トータルハードマネージメントサービス
代表取締役 獣医師 佐竹直紀氏
株式会社Guardian
代表取締役 獣医師 伏見康生氏
株式会社ファームノート
プロダクトマネージャー 獣医師 平勇人
<モデレーター 平勇人(以下、モデレーター:平)>
おはようございます。
本日はファームノートサミット2017 Winterにご来場を頂きましてありがとうございます。
このホールでは技術セッションということで、まずはその第一弾として「獣医に直接聞きたい!繁殖管理のベストプラクティス」というテーマで、第一弾のセッションを始めさせて頂きます。
本日ご登壇いただくのは、株式会社トータルハードマネージメントサービス代表取締役の佐竹 直紀先生と株式会社Guardianの代表取締役の伏見康生先生です。
そしてモデレーターを務めさせて頂きます、株式会社ファームノートの平と申します。
では佐竹先生から簡単に自己紹介をお願いします。
<佐竹直紀氏(以下、佐竹先生)>
皆さんおはようございます。
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株式会社トータルハードマネージメントサービス
代表取締役 佐竹直紀氏
1998年大学卒業後、株式会社トータルハードマネージメント社に入社。2015年同社代表取締役に就任。 2015年には子牛の哺育期専門の預託牧場である株式会社トータルハードカーフサービスを開業し、問題を抱える顧客農場の子牛管理を請け負っている。目指すのは酪農場の繁殖マネジメントと一般診療をとおして、農場全体を見渡すことのできるコンサルタント獣医師。これまでの獣医療の型に捉われず、酪農場が抱えている問題解決のため「自分にいったい何ができるのか?」を真剣に考えている。
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北海道の別海町から来ました、株式会社トータルハードマネージメントサービスの佐竹と申します。本日はこのような機会をいただきまして、大変うれしく思います。
簡単な自己紹介をさせていただきますと、千葉県出身の45歳です。
現在、家内と4人の子供がいまして、こちらの方の繁殖成績も抜群でございます。(笑)
趣味は、お酒とマラソンと登山です。最近は冬の登山を行っておりまして、ストイックなことが好きなわけではなくてマラソンを走った後のビールが旨い、冬山から帰ってきた後の熱燗が旨いというそれだけの動機でやっております。
日常の仕事ですが、別海町は皆さんもご存知の通り酪農家の町です。
全てのお客さんが酪農家さんで、酪農家さん相手に一般診療と繁殖のマネジメント、そしてコンサルティングを行っております。
本日は私の一番得意な「繁殖マネジメント」のお話をさせていただけるということで、皆様に何かひとつでもいい情報をお渡しできればと思っております。どうぞ最後までよろしくお願いします。
<モデレーター:平> ありがとうございました。では、伏見先生お願いいたします。
<伏見康生氏(以下、伏見先生)>
みなさんおはようございます。
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株式会社Guardian
代表取締役 伏見康生氏
1980年11月 埼玉県に生まれる
2008年 3月 鹿児島大学農学部獣医学科 卒業
2008年 4月 有限会社シェパード 入社
2012年10月 山口大学大学院連合獣医学研究科博士課程 入学
2016年 3月 学位取得(獣医学博士)
2016年 3月 有限会社シェパード 退職
2016年 4月 株式会社Guardian 設立
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私は1980年生まれの37歳です。
鹿児島大学の獣医学科を卒業しまして獣医師を目指したときに、実は隣に座っていらっしゃる佐竹先生のトータルハードマネージメントサービスに応募したんですけれども、残念ながら落とされてしまいまして(笑)
鹿児島にあります有限会社シェパード中央家畜診療所にて肉牛の診療とコンサルティングを学び、2年前に独立して自分の会社を立ち上げました。
業務としまして北海道と鹿児島の主に2つの農場のコンサルタントをさせていただいてます。
どちらも乳肉複合形態です。
佐竹先生が先ほど趣味なども仰られていたので、僕も趣味について簡単に。
趣味は魚つきでして、鹿児島にはたくさん離島がありまして、見たこともないような巨大な魚がウロウロしているんです。そのウロウロ泳いでいる魚をモリでつくというのを趣味にしています。
今日は一番最初のプログラムということで、この場を温めるようなことが私たちの役目だとも思うので、ざっくばらんにやっていきたいと思います。皆さんも参加できるような形にしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
<モデレーター:平>
ありがとうございました。
最後に、モデレーターを務めさせて頂きますファームノートの平勇人と申します。
現在34歳なんですが、私がファームノートに入ったキッカケをちょっとここでお話しておこうかなと思います。
以前は電子システムを自分で作るIT関係の仕事をしていたのですが、当時から日々チェックをしていたトータルハードマネージメントサービスさんのブログ記事でファームノートの存在を知り、縁あって入社に至りました。
新鮮で刺激的な情報を発信されていらっしゃる著名な先生方と、今日ここでセッションできるというのは非常に光栄です。どうぞよろしくお願いします。
さて、本プログラムのメインテーマが「繁殖管理のベストプラクティス」なのですが、まずは基本的なところから話を進めていきたいと思っています。
繁殖管理の基本だけど重要なポイントというのがいくつかあると思うんですが、まずひとつ目として「VWPをいかに早く進めていけるか」というその意義について教えて頂きたいなと思います。
<佐竹先生>
VWP後、速やかに妊娠させることの重要さという話も勿論大事なのですが、私が農家さんに対して最初に必ずお話をするのが”酪農場の繁殖成績が改善することで、どれだけ酪農場の経済がうまく回るのか” そして “繁殖成績が改善することで酪農場の日常管理がいかに楽になるのか”という、この二点をまず酪農家さんにイメージしてもらうことから始めます。
これは私の会社の調査でも、世界的にも「繁殖改善と農場の経済性」という部分が研究されているのですが、およそ妊娠率が15%くらいから20数%に上昇することで、一頭当たり年間で約6万円から8万円の純利が上がるといわれています。
純利ですから、税金も引かれて、経費も引かれた純粋な利益です。
一頭当たりそれくらい上がるといわれているんです。つまり100頭の農場であれば年間600万円から800万円くらいの純利が上がってしまうんですね。
1,000頭規模であれば6,000〜8,000万円の純利です。ちょっとしたサプライズの金額ですよね。
実際1頭当たり年間で約6〜8万円の純利が年間上げる為には、どうしたらいいか?
例えば乳代で計算しましたら色々経費等を考えると、その3〜4倍の収益を上げなければいけないわけです。これを乳量で計算をしますと、1頭当たり年間約2,000キロから3,500キロくらい上げることと同じくらいインパクトがあると思うんです。
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