2018.07.05
本講演は2017年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット 2017Winter」にて酪農・畜産それぞれの領域でご活躍中の獣医師の先生に、牧場経営にて重要となる「繁殖管理」に関するお話と、ご来場者さまの質疑応答にお応えしたプログラムです。
株式会社トータルハードマネージメントサービス
代表取締役 獣医師 佐竹直紀氏
株式会社Guardian
代表取締役 獣医師 伏見康生氏
株式会社ファームノート
プロダクトマネージャー 獣医師 平勇人
<モデレーター:平>
ここまで出た話で、まず繁殖成績に限らずですけども、成績向上に取り組んでいく為には農家さんの姿勢っていうのがかなり重要じゃないかというところがポイントとして出ました。
繁殖成績の改善に向けて積極的に取り組んでいく中で、今取り組むことがわからないという状況だと何から手を付けていいかというところで、その中でデイリーコンプだったり、ファームノートだったりっていうものを活用していただくことで、まず現状を把握した後に改善ポイントを見つけて、そこから一歩ずつ取り組んでいただくという話で、最後子牛の哺育の話が出ました。
ここまでの話で、ちょっと時間的に最後になってしまうかもわからないんですけど、会場からご質問等ありますか?
<会場からの質問>
リピートブリーダーに対する薬剤注入の話の部分でもう少し詳しい話を聞かせてください。
<伏見先生>
原因菌として子宮内膜炎があるという前提で、薬剤として世界的な流れというか、日本でほぼ間違いなく一番多い原因菌がツルペレラ・ピオゲネスという菌ですね。
これも昔はテトラサイクリン系がよく効いたんですけど、今はアンピシリン系です。
実際私もそれを使っています。注入だけでは足りない牛に関しては洗浄がベストで軽く血が出るくらい洗浄していいと思います。
子宮の粘膜一枚はがしてやるくらいの気持ちで洗浄してやると、新しい粘膜が刷新されるわけですよね。それが着床率を劇的に改善してくれると思います。
<佐竹先生>
子宮内膜炎の診断っていうこと自体は簡単ではないので、3〜4回授精しても中々とまらないなってやつを無作為に子宮注入とか行うんですが「授精しました、翌日排卵確認しました」そのタイミングで薬剤注入します。
そして卵管膨大部で受精した受精卵というものが子宮内にコロコロ転がってくる1週間後くらいまでに子宮の状態をきれいにしておけばいいというようなタイミングでの子宮注入を行っています。
<伏見先生>
それやった農家さんで劇的に改善したという農家さんを何度も経験してます。
AI後の子宮内薬剤注入はベリーグッドですので是非。
<モデレーター:平>
子宮内膜炎っていまその実態、どれくらいの牛が発症しているのかとか、いまサンプリングをされている最中だと思うんですけど、かなり多いというのは先生方の実感ですか?
<伏見先生>
和牛に関してはそうでもないかもしれませんが、分娩前の飼養管理とか過肥の状態でマチマチなんですけど全体でみたときに20%くらいは普通にかかっていると思います。
それをビタミンだとか、セレンの添加、あるいは分娩直後からのどれくらい技術的介入で抑えられるか。
是非オススメしたいのが分娩直後から3日間連続で抗生物質と抗炎症剤連投で圧倒的に子宮内膜炎が減りますね。あかばねクリニックの鈴木先生も勧められているんですけど、獣医を呼ぶ必要なんてないです。
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