導入事例

株式会社 帆保畜産様(熊本県菊池郡)

Farmnoteを使ってスタッフへ的確に指示が出せるようになり、取引のスピードも上がりました。

サムネイル添付

Farmnoteを使ってみて

「条件に合う牛のリストをプリントアウトするだけで、スタッフに的確な指示が出せるようになりました」

case_hobo01.jpg「頭数が増えるとともに、事故や移動ミスを防ぐことが大きな課題となりました」

Farmnote導入の経緯を教えてください。
牛の頭数が増え、繁殖牛の分娩事故や移動ミスを防ぐためしっかり管理したいと思ったことがきっかけです。
私には、「何番の牛がいつ出荷予定なのか」「分娩が近い牛は何番なのか」など牛の情報や段取りが全部分かっています。それをスタッフに正確に伝えるため、ノートや紙に指示を書いて伝えていたのですが、分かりやすく詳細に指示を書くため非常に工数がかかっていました。簡単な指示にすると、正しく伝えられませんし、私自身もマネージャーではありますが、現場に出るプレイヤーでもあるので、自分が見てもスタッフが見ても牛群の状態が一目で分かる仕組みが必要だったのです。
そこで2016年の夏、いつもお世話になっている方に相談したところ、ファームノート社のスタッフの方を紹介していただきました。そしてまず、トライアルでFarmnoteを利用し、2016年11月に本格利用を開始したのです。
具体的にどのような点が魅力だと感じたのですか?
これまで手書きで細かく書いていた指示が、Farmnoteで管理している牛群リストのプリントアウトだけでできるようになりました。この手軽さが、最も評価できた部分です。
今日も牛の出荷があったのですが、事前に「どの小屋にいる何番の牛は今日出荷予定」と伝えているため、安心してスタッフに任せられました。当社では出荷予定の牛があちこちに分散しており、加えて牛舎が4つの市町村に分散しているため、ミスがないように正しく管理・指示しなくてはなりません。Farmnoteなら個体のステータスや牛舎の場所がきちんと管理されており、移動や出荷、個体チェックなどが簡単にできるのです。
case_hobo02.jpg「自分の頭の中にある牛の管理情報をスタッフと共有し、的確に指示を出せるようになりました」
実際にご使用になってみて使い心地はいかがですか?
持ち歩くならスマートフォンの方が便利ですが、私には画面が大きいタブレットの方が使いやすいですね。タブレットなら一覧で出てくる頭数も多く情報量もあるので、普段は自分のタブレットでFarmnoteを使っています。
具体的に気に入っている点や機能は?
好きな機能は牛群管理とリスト機能ですね。特にリスト機能はスタッフへの指示に欠かせません。
例えば「分娩2カ月前の個体の一覧を出したい」「出荷1カ月前の個体を出したい」など、ステージごとに牛のリストをすぐ作ることができます。これをプリントアウトし、スタッフに見せながら「この小屋にいる何番の牛を分娩室に移動させてほしい」と簡単に指示できます。また「分娩15日前なのに分娩室に入っていない個体」や「ワクチン未接種の個体」など早急な対応が必要な牛のチェックもできます。
当社は農業共済保険に入っているため牛の分娩や売買の実績は農業共済に届ける必要がありますが、それもこのリスト機能を使い、分娩リストや売買リストを閲覧のみの公開として農業共済と情報共有しています。今期から税理士ともデータを共有し、棚卸にも使う予定です。こうしてスタイルや用途、やり方に合わせてリストを作ることができるお気に入りの機能です。
それに、リスト内の個体データを確認し、チェックボックスでステータスを簡単に変更できるのも便利ですね。妊娠中の個体を待機用の牛舎から分娩舎に移動させた場合、移動済みのチェックを入れると、自動的に待機中のリストから分娩舎にいる個体リストに入るので、常に最新のステータスが確認できます。
そのほかに実感しているFarmnoteの効果として、取引スピードが上がったことが挙げられます。Farmnoteに母牛の血統や体重などを打ち込んでおくと、その情報から子牛の3代図が自動的に登録されますし、将来の大きさの予測もしやすくなるからです。私は市場でも牧場でも常にタブレットを持ち歩いて牛の情報をFarmnoteに入力しているので、「こんな牛が欲しい」と問い合わせをいただければ、その場ですぐ確認して対応可能かどうか答えられるようになりました。余談ですが、Farmnoteを活用するコツは、面倒がらずにその場で牛の情報を入力することですね。市場で牛を購入後、「後から書類が届いてから入力しよう」といっても、忘れちゃいますから。
case_hobo03.jpg「Farmnote活用のコツは、牛の情報はその場でFarmnoteに入力することです」
導入により運営上の課題は解決できましたか?
はい、Farmnoteでチェックリストを手元で簡単に確認できるようになり、おかげさまで事故なく毎日しっかり管理できるようになりました。これまでは、例えば出張で数日留守にする場合、何かミスが起こらないか心配でしたが、朝Farmnoteを確認してチェックリストに牛が上がってきたら、電話してその結果を見ながら作業指示を出せます。Farmnoteの画面をスクリーンショットに撮ってメールで指示を出すこともあります。いずれにせよ、的確に指示が出せるようになったおかげで、スタッフに安心して任せられるようになりました。
従業員の方からの評価はいかがですか?
実はまだ、スタッフはFarmnoteを直接さわっていないんです。私が作ったマニュアルに合わせて、哺乳ステージの子牛に与える給餌量を自動計算するプログラムがあるのですが、その計算だけは哺乳担当者がFarmnoteをスマートフォンで確認できるようにしています。
なぜかといえば、本格展開の前に、自分自身でFarmnoteを使いこんで活用法のベストな黄金パターンを見つけていきたいからです。今以上に使いこなし、ベストプラクティスを見つけたその時に従業員にも展開するつもりです。

帆保畜産様の取り組みについて

「2015年に精肉店兼焼肉店をオープンし、高品質な牛肉の供給に努めています」

case_hobo04.jpg「最上の牛肉を純粋な気持ちで味わっていただくために店舗をオープンしました」

帆保畜産様の事業内容を教えてください。
帆保畜産は私で5代目となる畜産農家です。昨年私が農林大臣賞を受賞し、これで4代連続同賞を受賞しました。法人化したのは2014年(平成26年)で、続く2015年には、消費者の方に「おいしい牛肉を、きちんと理解して食べていただきたい」という思いから、焼肉レストランと精肉販売を兼ねた店舗「LIEBE」をオープンしました。いわゆる六次化産業の畜産農家ですね。
御社ならではの特徴は?
LIEBEをオープンした理由は、たくさんのお客様においしい良質な牛肉を味わっていただきたいという思いからですが、正直な話、中には「ブランド牛だからおいしい」とブランドで評価する方がいらっしゃるのも事実です。生産者としては、そうした固定観念をなくし、「丹精を込めて育てた最上の牛肉を純粋な気持ちで味わっていただきたい」と常々思っています。レストランは、そんな生産者側の思いを実践し、お客様に上質な牛肉を純粋に味わっていただく場所なんです。
そしてもうひとつ本音をいえば、「農家はまだまだ進化しているんだぞ、これからさらに進化するぞ」ということを実証したい。政府の補助に頼っている衰退産業ではなく、自分たちの力で、どこの国にも負けないおいしい牛肉を作っているということを証明し、お客様に届けたいんです。それでまわりの人が幸せになれば私もうれしいし、それで少しの利益が出ればいうことはありません。そういう世界を作りたいんです。
case_hobo05.jpg「広々とした快適な店舗で、純粋にうちの和牛のおいしさを知ってもらいたいんです」
今、特に力を入れている取り組みはございますか?
繁殖に力を入れています。自分の牛舎で生まれた牛を、自分の店舗で消費するという完全一貫形態を完成させたいからです。
けれど現在、1カ月間の繁殖頭数と飼育頭数を比べると、繁殖で生まれてくる頭数と出荷頭数がイコールにならない月の方が多いのが現状です。この状態を解消するために繁殖を強化して、うちで生まれた牛だけを飼育していく予定です。こうして飼育頭数が増えれば、自分の店で出す頭数も増えるでしょう。
繁殖の強化に本格的に取り組み始めたのは2016年からです。実はFarmnoteの導入したのも「頭数を増やしても事故が起きたら元も子もない」というところからスタートしているんですよ。

今後のビジョン

「世界に通用する『和牛』ブランドの確立と、新しい農家のモデルケース作りを目指します」

case_hobo06.jpg「震災で苦しい畜産業界を活気づけたいと、子牛競りで「やすはな」を最高値399万円で落札し 熊本日日新聞にも掲載されました」

今後Farmnoteにどのような進化を求めますか?
導入の時から、「ファームノート社の社員の方は、農家にきちんと向き合ってくれているな」と感じていました。それは営業の方だけでなく、開発部門の方もサポートの方も同じです。実際、開発観点から話を聞きたいと真摯にお電話をいただいたこともありました。そうした、農家と共に進化していこうという今のスタンスを変えずにいてほしいと思っています。共に歩んでいくという気持ちを忘れずに一緒に進化していけると嬉しいです。
case_hobo07.jpg「共に進化する、という気持ちを持って地元熊本のプロバスケットボールチームのスポンサーもしています」
今後の帆保畜産様のビジョンをお聞かせください。
2つあります。1つは、世界に向け「和牛」というブランドを確立すること。もう1つは、次の世代に向けて、農業という職業をさらに進化させることです。具体的にいえば、1年365日休みなく働く農家の世帯収入を上げ、普通の勤め人と同じように休暇を取れるようにし、収入も向上させていくこと。そして、そんな農業に従事していることを、農家自身が誇りに思えるようにモデルケースを作っていくことです。
case_hobo08.jpg「まず自分が行動して背中を見せて、次世代に向け、”誇れる農業”のモデルケースを示したいと考えています」
もちろん、どちらも当社1社だけで完結する取り組みではありません。そのため九州・沖縄の畜産農家の方と一緒に団体を作り、農業の新しいモデルケースとその道筋を作るべく奮闘しています。
今後、高齢化が進む中で日本国内の牛肉消費量は減少していくと予想されます。それなのに、現在は国内の中でブランド牛同士が市場のシェアをめぐって競争している状態です。ブランド牛ごとの生産量をグローバル視点で見れば微々たるもので、これでは到底世界で太刀打ちできません。また、ブランドにこだわればこだわるほど、最終的には各都道府県に1種類ずつブランド牛ができるようになり、結果としてブランドの価値が暴落するというリスクもあります。もう、そんな時代じゃない。
case_hobo09.jpg「畜産農家が一丸となり、和牛のすばらしさを世界に広めたいんです」
海外戦略は、正直なところ私たち草の根活動でどうにかできるレベルではなく、国や商社の力が必要だと思いますが、少なくとも個人の利益追及や私利私欲などに陥って国の農業が衰退しないでほしいと真剣に考えているんです。広いビジョンでものを見ることができる人、そういう人が活躍できる場をみんなで作っていきたいですね。

(終)

case_hobo10.jpg「牛舎内の空気清浄や、おがくずのベッド、木製の囲いにより仔牛の疾病率も激減しました。ヒントは日常のいたるところにあり、常にアイディアを考えています」

会社紹介

会社名 株式会社 帆保畜産様(熊本県菊池郡)
創業 2014年に法人化(現在の斎藤社長で5代目)
従業員数 8名(2017年1月現在)
本社 熊本県菊池郡
事業内容 肉牛一貫経営、食肉加工、焼肉レストランの経営

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