導入事例

小泉牧場様(北海道標茶町)

「Farmnote Colorがあることで心にゆとりが生まれ、発情発見率のほか各種数値が改善しています。」

サムネイル添付

弊社製品ご導入以前の課題は?

「発情発見にかけられる時間は20分程度なので、どうしても取りこぼしや見逃しが生じていました。」

 正直にお話をさせていただくと、繁殖管理に関して特に課題といえるほどの問題はありませんでした。近年は予期せずして「繁殖成績優良農家表彰」も受賞し、今の恵まれた現状に満足してもよいのかもしれませんが、もう少し上を目指したいと思っています。せっかく評価をいただいているのですから「じゃあ、成績を下げるわけにはいかないな」という気にもなります。また私には、東京生まれ・東京育ちでこちらに越してきて就農した経緯から「この土地でこの仕事をやるからには、わずかなりとも爪痕を残そう」というひそかな闘志もあって、それが成績に対するモチベーションにつながっているのかもしれません。

“もう少し上”というのは、具体的には発情の取りこぼし、見逃しを解消してより成績を上げることです。うちの牧場では、朝の搾乳を終えると、ほぼ全頭をパドックに放します。放している間に実習生が牛舎を掃除して、一方で妻がメインとなって発情を見つけます。そうやって2時間ほど牛を外に出しておいて、10時くらいには牛舎に戻します。この一連の流れの中で発情発見にかけられる時間は20分程度なので、どうしても取りこぼしや見逃しが生じていました。

koizumi-farm_3.jpg
-弊社製品導入のきっかけは?
 目視による発情取りこぼしを何とかカバーしたいと考えていたので、ファームノートの牛用IoTセンサー「Farmnote Color」を見つける以前から、発情発見に役立つ機器をずっと探していました。当時はフリーストール対応のものばかりだったので、つなぎ牛舎で使える製品はないかと色々なメーカーに相談をしたのですが、各社あまり明確な返答がなく、確信が持てずに導入を見送っていました。ツール導入にはコストもかかるので、そこは早まらず、「つなぎ牛舎にも対応する発情発見器がいずれ出てくるはずだ」と考え、待つことにしました。そのうち、広告か何かでFarmnote Colorを見つけ、つなぎ牛舎に対応しているということを知り、導入を検討しました。

これまで発情発見を担当していた妻が家庭の事情で1ヶ月間ほど牧場業務を離れることになり、その間の発情発見を自分が担うことになりました。この予定が事前に決まった際「自分でも上手くやれるだろうか」と少々自信が持てなかったため、頼みの綱としてFarmnote Colorに期待し、2018年12月に導入へと至りました。


koizumi-farm_4.jpg

実際に使用された使い心地や効果は?

「Farmnote Colorがあることで心にゆとりが生まれ、発情発見率のほか各種数値が改善しています。」

 うちの牧場はクラウド牛群管理システム「Farmnote」とFarmnote Colorを扱っているのは自分だけで、妻は導入以前と変わらず目視で発情を見つけています。彼女は酪農家の娘として生まれ育ち、個体の記録を頭に入れた上で牛を見ているため、微妙なサインも読み取るほどの発情発見力があります。しかし、たまたま妻が取りこぼした微細な発情をFarmnote Colorが見つけた時は「この牛、発情通知が来てたよ」などと私が声をかけたりして、人間と機器とがゲームのように競い合いながら発情発見に取り組んでいます。

導入前はほとんど妻に発情発見を丸投げしていたため、心理的プレッシャーは無かったのですが、いざ自分がやらないといけない立場になった時はプレッシャーを感じました。それでもFarmnote Colorがあることで心にゆとりが生まれ、実際、妻が不在の期間もそれほど取りこぼしがなく、発情発見率を維持することができました。2019年12月にFarmnote Colorの性能改善があり、誤報が減ったことも関係しているかもしれません。

導入前と導入後の数値変化としては、発情発見率が46%から48%、空胎日数が119日から109日、授精間隔が45日から40日、分娩間隔が13.1ヶ月から12.8ヶ月、繁殖治療件数率が36%から27%と、改善が見られます。全国的に見れば平均以上ですが、地域には優秀な成績の酪農家さんがたくさんいるため、自ずと自分たちの満足レベルも上がっていて「これで十分」とは思えないです。

発情以外では疾病疑いの通知機能を重宝しており、今のところ通知が来た時はほぼ100%、誤報が無いと思います。うちの場合、分娩後に低カルシウム血症になる傾向が多いのですが、Farmnote Color導入後は獣医師さんを呼んで処置を施すタイミングが早くなったおかげで、以前よりも速やかに牛が快復しているように感じます。導入前は獣医師さんに対して、何となく感覚的に牛の状態を説明するしかなかったのですが、今は実際にスマートフォンでデータを見てもらいながら会話ができるので、獣医師さんも以前より仕事がしやすいのではないかと思います。


koizumi-farm_5.jpg
-導入されていない方へのメッセージはありますか?
 私は17年間この仕事をやってもまだ経験値が足りないと自覚しているので、こういう新しいものも取り入れながら、もっと経験を深めていければと思いFarmnote Colorを導入しました。導入したことで、今までよりも牛をよく見るようになりましたが、通知と照らし合わせて見るので、以前よりも効率的な見方ができていると思います。

牧場運営の根本は牛を知ること、そしてきちんと牛が発情行動を起こすような飼い方をすることが重要なので、そこをおろそかにして機器任せで何とかしようという考え方で導入しても、おそらく機能はしないと思います。

一方、若い新規就農者や転職して就農する人にとっては、すごく有用なツールだと思います。自分自身を振り返ってみると、私は29歳で就農して、最初の10年は基礎的な業務の技術を身に付けることに時間をかけました。はじめは牛のことが全く分からず、頼るものといったら乳検の数値くらい。各項目のどの数値を上げたら良いのか、改善のための材料となる数値はどれなのか、と自分なりに学びました。そして知識に技術が伴うようになった頃ぐらいから、成績も少しづつ上がっていったように感じます。

こうした自分の体験を振り返ってみても、就農したばかりで経験が浅いうちは数字やデータに頼らざる得ない部分があります。経験値が浅い人が経験豊富なベテランの知識や技術に追いつくにはどうしても時間がかかりますが、大きなトラクターなどを買い込むよりは、こういう機器を使って勉強をしていくことで、自分が思うよりも速く成長できるかもしれません。

また、投資コストもネックになるかと思いますが、例えばうちの場合では、病気の牛1頭の命を救うだけで80~100万円は出費を抑えられるので、年間に数頭くらい疾病を早めに見つければ、それだけで初期コストの元は取れます。それに24時間365日、全頭数を監視するというFarmnote Colorと同じ作業を人を雇って実践するとしたら、どれだけ人件費がかかることでしょうか。導入にかかるコストを高いと見るか、妥当と見るかは考え方次第です。


koizumi-farm_6.jpg
-今後のビジョンを教えてください
 実は可能であれば、頭数を減らしていけたらと考えています。当たり前のことですが頭数を増やすと、ロボットを導入しようが人を雇おうが忙しくなってしまいます。うちは後継者もいないので、繁殖サイクルをうまく回して頭数を維持もしくは減らしていきながら、経済的には今のレベルを維持できることが理想的かなと考えています。

(終)

会社紹介

会社名 小泉牧場様(北海道標茶町)
従業員数 5名(取材当時)
本社 北海道川上郡標茶町

この記事をシェアする

導入事例

Farmnote Color case study
もっと製品を知りたい方へ
×
もっと製品を知りたい方へ
×