【全11回】革新を創造する。次世代経営者とビジョン⑧

<連載第8回:海外への事業展開>

インターネットの発達によって産業構造が大きく変化している時代の中で、経営に求められるものも同様に大きく変わってきています。そんな中、注目を集める次世代経営者の方々はどのような考えでイノベーションを起こそうと努力されているのでしょうか。

2017年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット2017 Winter」にて、有限会社一平(九州パンケーキ)村岡代表と株式会社BAKE 長沼会長にそのお考えや目指すビジョンについてお話を伺ったパネルディスカッションです。


スピーカー

有限会社一平 代表取締役 村岡 浩司 氏
株式会社BAKE 会長 長沼 真太郎 氏


モデレーター

株式会社ファームノートホールディングス
代表取締役 小林 晋也


<1つ前の記事はこちら>

<村岡氏>
最初の数年間はいくつかの食コンテストにも出てたんですね。1年目に農林水産省さんがやっている食コンテスト「第1回地場もん国民大賞」で金賞をとったりとか。

ただ実際のところは、SNSの口コミが大きいと感じています。ご家庭で作ったパンケーキの写真をインスタとかで発信してもらったものを「この九州パンケーキって面白そう!」「美味しそう!」って口コミで広がっていった実感がありますね。家庭から広がった感じがします。

<モデレーター:小林>
テレビ取材もインパクトあったんじゃないですか?大々的に出たじゃないですか。

<村岡氏>
2016年6月にカンブリア宮殿に出ました。あれはちょっとしたミニバブルがやってきましたね(笑)
ただミニバブルが来ても出荷できる商品自体が無いんですよ。小麦だけだったらなんとかなるんだけど。あれが足りないとか、これが足りないとか。原料を全て九州だけで調達しているのと、ちょうど熊本の震災も重なって工場の稼働も悪くなっていました。

ローカルプロダクトって、急な需給に対応できないし、製造にも限界があります。でもそういうのもおもしろいですよね。地域に紐づいて、僕らは農業に片足突っ込んで、「ないから売れないんだよ」っていうワガママも、それはそれでしょうがないって思っています。

<モデレーター:小林>
いま海外ってキーワードがお二方から出たので聞きたいんですけど、海外に関してどうやって進めたかは会場の皆さんも興味があると思います。長沼さんどうですか?

海外への事業展開

<長沼氏>
我々が海外展開をし始めたのは案外早くて、最初は小さいのを2店舗東京に出したんですよ。3店舗目が香港なんですよ、いきなり。

もともと上海に会社を作りたいと思っていたので、最初っからグローバルにいこうっていうのを思っていたんですけど、香港に出してそこが大フィーバーしました。出店した香港の店舗で4時間待ちの大行列がおきて香港中の人が知るようなフィーバーを作れて。
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(写真:長沼氏)

香港ってアジアのハブなので、香港でうまくいくと他の国がものすごい入りやすくなります。いま海外8か国に店舗(注:イベント当時)がありますけど、そのうちシンガポールと中国が直営でそれ以外がFCのパートナーさんにお願いをしています。

パートナーさんが広げてくれたっていうのはすごく大きいです。パートナーさんをどうやって見つけているかというと、いまインバウンドで海外から富裕層の方が沢山いらっしゃるので。食べて頂いて、向こうから「やりたい」と。沢山の引き合いを頂くんですけど、そこから我々がピックアップをして、コンタクトをとって進めるっていう基本受け身でやっていたっていうのはありますね。

<モデレーター:小林>
それであれだけ拡大するっていうのは相当モノがいいとか、相当ブランドがよくないとできないですよね?おそらくさっきの再現性の高さというか。

<長沼氏>
よくいう話ですけど、今ってSNS社会じゃないですか? 基本的に我々は広告とか何もやっていないんですけど、モノさえ良ければ自然とSNSとかで広がるんですよね。だからどうやって広めるか、基本的にはプロダクトに集中しています。

プロダクトって商品だけじゃなくて、それを見せるための、我々であれば店舗であったりWEBであったりしますけど、そこに投資をしていいものさえ作れば勝手に広がっていくっていう風に思っています。

<モデレーター:小林>
いいものをつくれば売れるってよく聞く話じゃないですか?よく聞く話なんだけど、そういう人に限ってあんまりうまくいっていないような気がするんですけど、突き抜けていいもの作ったんですか?

【全11回】<連載第9回:6次化のヒント>

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