【全9回】獣医師に直接聞きたい!繁殖管理のベストプラクティス⑥

<連載第6回:これからの牧場経営に必要なこと>

本講演は2017年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット 2017Winter」にて酪農・畜産それぞれの領域でご活躍中の獣医師の先生に、牧場経営にて重要となる「繁殖管理」に関するお話と、ご来場者さまの質疑応答にお応えしたプログラムです。


スピーカー

株式会社トータルハードマネージメントサービス
代表取締役 獣医師 佐竹直紀氏

株式会社Guardian
代表取締役 獣医師 伏見康生氏


モデレーター

株式会社ファームノート
プロダクトマネージャー 獣医師 平勇人


<1つ前の記事はこちら>

<モデレーター:平>
たしかに僕も本州で修業していてそういう傾向あるのかなって感じていました。
農家さんと接してきた中で、やらない姿勢ってだけじゃなくて、できない要因が結構あるんじゃないかなって思っていまして。

たとえば診療のデータに関しては獣医師が、授精に関するデータは授精師さんが持っている。
農家さんはお願いをして来ていただいた、何をしていいかわからないから次につなげにくいみたいな現状があるんじゃないかと。

そういった中でファームノートがやりたいこともそうなんですけど、情報を農家さんがしっかり持って、それに基づいて判断してそれができて農家さんが獣医師を変えていく部分って結構あるのかなって思いますけれども、そのあたりってどうですか?

全てのデータを農家さん自身が蓄積し、定期的に解析する作業が必要不可欠

<佐竹先生>
農場の大小に限らず泌乳データから疾病、繁殖、全てに関して、全てのデータを農家さん自身が蓄積して、それを定期的に解析していくという作業が必要不可欠だと思うんですよ。

その為には何かしらのソフトウェアを使わなければならなかったんですが、果たしてどのソフトウェアがいいのっていうのは、今まではモヤモヤっとしていた時代だったと思うんですね。
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佐竹先生

私が使っているデイリーコンプっていうソフト、これが非常に優れたソフトではあるんです。
世界的なソフトで、世界のコンサルタントの共通言語といえるソフトウェアだと思うんですが、但しこれは非常に複雑すぎる。農家さんが日常の作業に使うにはあまりにも余計なオプションがついている。

かつ英語であるっていう部分が、実際に日本の農家さんが皆さんこれを使うようになるのっていったら、僕は当然ノーだと思ったんですね。

そこで農家さんが日常的な作業の中で、データの蓄積とアウトプットを非常に容易に且つ定期的なデータの解析もできる、そんなソフトないのかなって思っていた時に、ファームノートを知りました。

宣伝みたいになっちゃいましたが(笑)
私、この会社から一銭ももらっていないですからね。(笑)
農家さんに「佐竹さん、なんかいいソフトない?」って聞かれた時に、一番最初に「ファームノートいいよ」って言う。非常に使いやすいです。

<モデレーター:平>
ありがとうございます。
現在は農家さんに日々使って頂くのに、入れたデータをコマンドで簡単に出力できる、体型立てて農家さんに提供できる、ベンチマークレポートのシステム開発を目指しています。

自分の農場の状態を客観的に把握し、舵取りすることが非常に大事

<佐竹先生>
農家さん自体がいろんなソフトウェアを使って、いま自分の農場がどういう状態なのかっていうのを客観的に把握をして自分で舵取りができるっていうのが非常に大事だと思います。
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(左)佐竹先生

何人かの優秀な酪農家さん、あるいは非常に経験豊かで情報処理能力の高い酪農家さんにしかできなかったことではなくて、誰もができるということにならないとバージョン2.0って難しいのかなって思いますよね。

和牛に関してもベンチマークも、子牛なんかもめちゃくちゃハマるところなんですね。
そのときエネルギーどうなのっていう部分で、比率とまでは言わないんですけど、ブレがわかるのに教えてくれないっていうのがあったと思うんですね。

目標数値だとかが明らかになってくると、子牛の発育のサイズだとか目標とするものが見えてくる、じゃあ何が悪いんだって考えるきっかけにもなるんですよね。

例えば人工哺育であれば、90日デイリーゲインの目標は、うちでは○○ですってパッと言える人がいたら結構すごいと思うんですけど、私のコンサルティングで目指すのであれば0.75〜0.8くらいの人工哺育であれば目指してもらったりする。和牛であれば、親付けであれば0.90〜0.95くらいに伸びていく可能性が十分あるんですね。

この数値を知っているか知っていないかだけで今の自分の現状がどこなのか、じゃあ改善しないといけないね、じゃあ何を改善すればいいのかと取り組みが次々と変わっていきますよね。これはものすごく大きいことだと思うんですよね。中々数値化しにくいところだったんですけど、そういうところができるといいですよね。

【全9回】<連載第7回:和牛は、親付けの初乳を飲ませる期間を伸ばすに限る>

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