【全9回】獣医師に直接聞きたい!繁殖管理のベストプラクティス③

<連載第3回:農場の成績改善に向けたコンサルティングとは>

本講演は2017年12月に北海道帯広市にて開催を致しました「ファームノートサミット 2017Winter」にて酪農・畜産それぞれの領域でご活躍中の獣医師の先生に、牧場経営にて重要となる「繁殖管理」に関するお話と、ご来場者さまの質疑応答にお応えしたプログラムです。


スピーカー

株式会社トータルハードマネージメントサービス
代表取締役 獣医師 佐竹直紀氏

株式会社Guardian
代表取締役 獣医師 伏見康生氏


モデレーター

株式会社ファームノート
プロダクトマネージャー 獣医師 平勇人


<1つ前の記事はこちら>

<モデレーター:平>
実際に先生が農場に入られてコンサルティングの取り組みを始められると思うんですけど、その時に何からスタートしますか?

<佐竹先生>
一番難しいところですよね。色々な農家さんがおられますから。
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(左)佐竹先生

ケースバイケースですけど、まず飼料のマネジメントが、ある一定数以上の水準以上であればそこはそのままで行きましょうっていう手を使いますし。
中にはカウコンフォートだとか、飼料のマネジメントに非がある場合はありますから、そういう場合にはそこに同時に手を付けていきながらですね。

<伏見先生>
農場の妊娠率を改善するうえで問題点となるのは、ベンチマークだとかここを改善しようという話になるケースが多いのか、その農家さんからプロブレムを提示されて、それに対して先生がソリューションを考えていく形になるのか両方ですかね?

<佐竹先生>
もちろん両方だと思うんですけど、酪農の場合は繁殖だけ問題があるか、繁殖だけ良くすればいいのかというと、そういうアプローチの方法は無いんですよ。

結局は全部をやっていかなきゃいけないので、人間の繁殖に対する意識付けも大事なんですがカウコンフォートだったり、飼料に関するマネジメントだったりも、ある程度の水準はキープされてないとそこには手が付けられないですし。

ただ、そこに手を付けると乳量に反応が出てきます。そうなると農家さんはわかりやすくて、なんとなく変えたらプラスの反応が出てきた。もうちょっと佐竹の話を聞いてやろうという感じになります(笑)

<伏見先生>
いい結果出れば話を聞いてくれますし。

和牛は子牛、繁殖の部分を合わせて考えられることが大事

<モデレーター:平>
繁殖を攻める前に手を付けやすいところから、もっと大事なところからキチンと改善していくことが大事だとすごくそう思います。和牛も同じですか?

<伏見先生>
やっぱり和牛の繁殖を語るうえで、繁殖だけ見ている人っていないと思います。
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(右)伏見先生

佐竹先生の話に通じるんですけど、和牛だと繁殖と子牛なんですね。
いかに健康な状態で産ませて、健康に育てるということくらいに注目する部分が非常に大きいですね。

私が入ったときに、農場のボトルネックとなっているプロブレムっていうのは、私の客観的な視点から見ることもありますし、農家さんからちょっと子牛がここで風邪ひくんだよね、ここで下痢が多くてとか、産まれが小さいんだよねとか農家さんから主観的な意見を聞きながら重要度を決めて、その提示された問題が何が原因で起こっているのか分析しながら攻めていくことになりますよね。

やっぱり和牛は子牛、繁殖の部分を合わせて考えられることが大事ですね。

<佐竹先生>
繁殖成績を改善したら分娩頭数が増えるわけですね。分娩頭数が増えると子牛が増えるわけですね。

繁殖成績を改善したはいいけれどもそのあとの周産期疾病、そのあとの子牛のトラブルが頭を悩ませている農家さんも決して少なくないんですね。その後というところも実は色々考えなきゃいけないところではありますよね。

<モデレーター:平>
繁殖ってエネルギーを利用しているっていうところが一番わかりやすいのかなと思います。

食べたエサをまずは生命の維持のために使って、酪農であれば泌乳のために使って、脂肪を蓄積して、一番最後に繁殖のためにエネルギーを使う。だから繁殖を良くしようと思うと、全体が改善されていないと繁殖の改善に繋がらないというお話ですね。

【全9回】<連載第4回:会場からの牧場経営に関する質疑応答>

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