【全3回】反芻時間のモニタリングと評価が牛群の生産性を上げる①

<連載第1回:なぜ牛の反芻をモニタリング、評価する必要があるのか?>

株式会社ファームノート プロダクト開発チーム
獣医師 平 勇人

牛の反芻をモニタリングする重要性とともに、今まで漠然と観察されてきた反芻行動を可視化し、過去の平均反芻量との比較検証することの意義、飼養管理における活用方法などをご紹介します。

漠然と観察されている牛の重要行動「反芻」

酪農家の多くの皆さんは、日々の飼養管理において牛の反芻を目の当たりにしていらっしゃると思いますが、どの程度注目をされていますでしょうか?

酪農家さんによっては「牛の反芻を見ていると安心する」という方もおり、牛の体調や状態を観察する判断材料として長らく観察されてきました。

ただ、実際には反芻行動の有無そのものを観察されていることが多く、反芻時間をカウントすることや過去の反芻量との比較等は物理的な難しさもあって行われていないのが現状です。(牛の目の前で1頭毎に24時間365日、反芻を数えることは非現実的ですよね。)

なぜ反芻時間のモニタリングと評価が必要なのか?

反芻が低下・停止すると、第一胃と第二胃の発酵の恒常性を保てなくなり、最悪の場合、牛は生きていくことができなくなります。その反芻に大きく影響する要因には図1の要因があります。

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(図1:反芻に影響するもの)


まず反芻に直接的に影響しているものに、飼料組成・飼料の粒度、飼料摂取量、自律神経の作用があります。さらに、これらの要因は管理によって大きく左右されます。飼料組成・粗飼料の裁断長は飼料設計によって決まります。(カッターの刃の状況など実際の調整も大きく影響しますが)

飼料摂取量は、飼料設計に加えて、餌寄せ回数、牛群構成、飼槽幅などの管理状況も大きく影響します。また自律神経の作用にはストレスが大きく影響し、ストレスの要因として、先の管理状況や暑熱や寒冷といった環境要因、疾病といったものが挙げられます。

つまり反芻時間をモニタリング・評価することは、このような牛群管理の要素が牛にどのような影響を及ぼしているのか、適切な牛群管理ができているのかを評価することにつながります。

この管理、飼料、環境、疾病などの要因は全て反芻に影響を与えるので、牛の反芻時間が低下している場合はどの要因が牛の健康状態に影響を与え、結果として反芻量が低下している課題を見える化することにつながります。

その課題を1つずつ解決していくことが、最終的な繁殖成績の改善・向上につながり、最終的な牛群全体の生産性向上に結びつきます。反芻時間のモニタリングと評価は、その取り組みに大きく貢献する機能となります。

【全3回】<連載第2回:反芻時間が短期間のうちに大きく変化する分娩前後>

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