株式会社山岸牧場 山岸 拓 様

Farmnoteが必要なツールであることをさらに広めて、
日本の酪農を強くする手伝いをしてほしい。
そしてFarmnoteを介して酪農家同士の繋がりをさらに強め、
情報を共有しながらお互いを高めあっていきたいなと思っています」

株式会社山岸牧場

山岸 拓 様

酪農

北海道十勝の山岸牧場は、士幌町の佐倉地区で営む家族経営の牧場です。
「健康な土をつくり、健康な牧草を与え、健康な牛を育てる」というコンセプトのもと、"バイオガスプラント"を取り入れるなど、自然環境を活かした育成型の酪農に取り組み、約300頭の乳牛を愛情をもって育てています。2010年には生乳100%のヨーグルトをつくる「さくら工房」も、牧場内にオープン。

家族を核として、人を受け入れ繋がりながら牧場を運営し、六次化産業にも着手されている 山岸様に、現状の課題やこれからのこと、Farmnoteについてのご意見を伺いました。

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ファームノートを使ってみて

「データの見える化と、スタッフの自主性、そして時短。でもFarmnoteにはもっともっと可能性があると期待しています」

Farmnote導入の経緯をおしえていただけますか。
1回目のFarmnoteSummitに参加したことがきっかけです。もともと山岸牧場でも「作業の見える化」に取り組んでいたので、とてもいいツールだなと感じ、すぐに導入しました。
導入前にどうのような点を検討されましたか。
入力工程が少し懸念でしたが、データが溜まったときになにが見えるのかの楽しみや期待の方が大きかったです。実際の入力もだれでも簡単にできるので、今では全スタッフがどんどん自主的に入力しています。
運営上の課題点や、それに対してのFarmnoteへの期待をお聞かせいただけますか。
課題点は牛群のコントロールですね。牛の健康状態の管理がとても大切なのですが、様々な 要因が絡んでくるので調子を崩した際の原因をみつけるのはなかなか難かしいことなんです。
何が原因か分からなければまた同じミスを繰り返すだけなので、牧場にある様々な情報をつなぎ合わせて答えを導いて行かなければならないんです。答えを出すには経験や幅広い知識が必要になってきますからね。
そして、牧場経営をしていく上で重要なのが牛の繁殖です。妊娠して子牛を産むことで牛乳が出ます。美味しい牛乳を提供するためにも、安定した経営のためにも牛の繁殖管理と体調管理がとても大切になります。しかし生き物のことですので、自分の意識の外で問題が起きてしまう。それをスタッフ全体で共有して、統合されたデータを基に問題が起きる前に手をうち、起きてしまったことに関しては即座に確実な対応をしていきたい。そのためには"見える化"と"データ"がかなり重要になると考えています。
牛群移動のシーン。山岸牧場オリジナルのゲージで、一度に複数の牛を移動。牛群移動のシーン。山岸牧場オリジナルのゲージで、一度に複数の牛を移動。
Farmnote導入から約一年がたち、データや活用の状況はいかがですか。
一年たって、だいぶデータが溜まって"見える"ようになってきていて、本当に入力したかいがあったと実感しています。それに伴いスタッフの自主性もさらに出てきました。また、資料を見るために事務所に戻らなくてはいけなかったのが、スマホを見ればFarmnoteでその場でより詳しい状況がわかるようになったというのは、とても嬉しい時短効果でもあります。
Farmnote導入以前は、牧場管理にシステムは使用されていましたか。
いいえ、ソフトは使わず紙で管理をしていました。親方が、この場合は私や父ですが、様々な種類のデータが記載されている紙の資料をつけあわせて見て頭のなかで考えて指示を出していました。
いままでは自分の頭のなかで考えていたものを、Farmnoteではデータとリストで見れるのでとてもやりやすいです。作業分担はホワイトボードなどで共有し、現在も併用していますが、内容がより細かく正確になりました。
Farmnoteと併用し、より精度が高くなったという予定共有管理のホワイトボード。Farmnoteをスマホで使えば、牛の目の前ですぐにデータの確認・入力ができる
Farmnote導入前までの従業員の方同士の情報共有度合いはどういった状況でしたか?
指示のあることはできるけれども自主的には動き難い状況でした。例えば、掃除はできるけれども牛の移動はできなかったのですが、いまは自分たちでFarmnoteで調べて牛を移動させることができています。
従来の酪農では親方の指示なくしては動けないパターンが多いと思います。しかしこれからは親方もスタッフもどんどん外に出てさらに新たな知識や手法を学び、かつみんなで共有していかないといけないと感じています。そういう意味でも、Farmnoteがあれば遠隔からでも牧場の状態を把握し指示もできるし、スタッフそれぞれがデータから理解して自主的に行動することもできます。
ご使用いただいて、Farmnoteの機能で具体的に良い所は
まずは、条件をつけてリストが作れる"個体リスト"ですね。
乳房炎をリストアップしたり、乳量や分娩してからどのくらいの日にちが経ったかがFarmnoteでみれるので、牛の移動や管理がすごく楽になりました。リアルタイムの牧場の状況を見れるので、今牧場で何が起こっているのかが分かるのがとても良いです。
また、"ストーリー"という機能で、牛の生涯になにが起きたのかというのがわかるので、牛を安全に飼育してあげる意味でも、食の安全の意味でもいいと思います。

山岸牧場様の取り組み

「来てくれた、食べてくれた人達の笑顔が、自分たちの仕事に喜びと誇りを与えてくれ、もっと良くしたいという気持ちに繋がっています。」

山岸牧場様の理念や特徴をお聞かせください。
「山岸牧場では、乳牛にも人にもよい環境で高品質な牛乳を送り出していくという牧場運営 をしています。6次化によるヨーグルトの製造やバイオガスプラントを取り入れ売電をしています。そして、牧場体験も行っています。
父と母、長男である私と妻、そして姉夫婦の6人の家族に加え、鹿児島の農業大学での研修でうちの牧場にきてくれた優秀な人材を3年前にスカウトし、合計7名で約300頭の牛を運営しています。私は高校卒業後、酪農の専門学校で2年間学び、そこでより牛が好きになって熱意を持って実家に戻ってきました。
離乳後の育成牛の食餌シーン(ぺろりとたいらげた後)離乳後の育成牛の食餌シーン(ぺろりとたいらげた後)
"牧場体験"について詳しくおしえていただけますか?
「2年ほど前からはじめた取り組みです。山岸牧場のFacebook等から呼び掛けをしたり、小学生の課外授業や酪農の学生、大人の方まで、昨年は約180名ほど受け入れました。哺乳や搾乳体験、アイスクリームやバター作り体験、小麦ロールで作ったアスレチックコーナーも子どもたちに大人気です。また、防疫対策も兼ねてつなぎや長靴一式もこちらで用意したものを着用してもらっています。」
山岸牧場では、これから自分たちが酪農を続けていくために、消費者の方の理解が不可欠であると考えています。まずは自分達が酪農の魅力を様々な角度から発信していくのが使命だと思い、役割分担と安全管理をしっかりして日常業務と平行しながら行っています。 それに、来てくれた方の嬉しそうな顔や美味しさへの感動の声を聞くと、本当に嬉しいです。自分たちのやっていることへの誇りやモチベーションになっています。
農業関連の学生やほかの農家の跡継ぎなどの研修も受け入れています。これは酪農に関わる仲間を育て、これからの農業を一緒に支えていきたいという思いからです。山岸牧場での体験から生まれたさまざまな繋がりを大切にしています。
山岸牧場内の自家製ヨーグルト工房である「さくら工房」について伺わせてください。
「いつかうちの美味しい牛乳を自家製品にしたい」と願ってきた母を筆頭に、平成20年に山岸牧場内に工房を設立し、2年の試行錯誤の後に商品を販売開始しました。自家工房ですが衛生面の徹底、工程をしっかりしており、平成27年に北海道HACCP(自主衛生管理認証制度)を取得しました。開封時にはヨーグルトの上層部には生クリームのような層が浮いています。これは脂肪球を分解していない牛乳を使用しているからです。また、なめらかでクリーミーな食感が特徴です。自社店舗を待たずに地元のお店を中心に卸し、年間約6500個製造しています。
パッケージも好評のさくら工房のヨーグルトは、生クリームのような層に感動。パッケージも好評のさくら工房のヨーグルトは、生クリームのような層に感動。
お客様に食べていただいたときの、表情が違うんです。子供も大人も感動してくれて、こちらがびっくりしたり感動しています。"今まで食べたことがない!"と言っていただくこともあり、作り手として本当にうれしいです。
またさくら工房をはじめてから、生乳を生産する意識がさらに強くなりました。ヨーグルトを売り始めるまでは、美味しい牛乳を卸したいと思っていましたが、"もっと"美味しくしたいという意識が強くなりました。
そして、いままで直接関わることがなかった、食べてくれる人を身近に感じれるようになり自分たちのモチベーションもさらに上がりました。ヨーグルトが美味しいということは、ダイレクトにうちの牛乳が美味しいということですから。
酪農とヨーグルト製造は家族内で分業しているのですが、それぞれの立場からの会話やコミュニケーションも増えました。」
「バイオガスプラント」というのはどういうものでしょうか。
「"バイオガスプラント"は、まず牛の糞や尿を一箇所に集めて熱を加え、発酵してでてくるメタンガスを使って自家発電して電気をつくり、そしてその処理後の糞尿を堆肥として活用します。酪農では堆肥の処理に困るのですが、この処理をすることによって良い堆肥になるんです。その堆肥を畑や牛の牧草に還元しています。人にも牛にも環境にもいい取り組みです。ドイツ視察でこの取り組みの良さを知り、平成24年から導入しています。」
このバイオガスプラントで牛の糞尿を処理すると、発電だけでなく、よりよい堆肥ができる。このバイオガスプラントで牛の糞尿を処理すると、発電だけでなく、よりよい堆肥ができる。

今後のビジョン

「これから、日本の酪農の新しいかたちをFarmnoteを使ってつくっていきたい。」

今後Farmnoteに求める進化をお聞かせください
まず、機能の進化と同時に、農協などの各関係機関と連携をして、これからの酪農のかたちを広げていくことを期待しています。Farmnoteが酪農にとっての必要なツールであることをさらに広めて、日本の酪農を強くする手伝いをしてほしいし、Farmnoteを介して酪農家同士の繋がりを作り、お互いをどんどん高めあっていきたいなと思っています。
従来のものは入力しにくかったり分かりにくいものが多かったのですが、Farmnoteは本当に誰でも簡単に使えるので、このデータを使えば例えば獣医さんだったり、酪農家を指導する人達も、より農家に指導しやすくなると思いますし、自分自信の技術力や指導力のレベルアップに繋がっていくと思うんです。こういったチームプレーこそがこれからの日本の酪農がを強くしていくためには必要不可欠な物になってくると思います。
また機能面では、コストや機会損失の試算をより具体的に見える化できると経営しやすくなるなと感じています。経営診断もできるようになるといいですね。
そしてFarmnoteを使っているおかげで病気の原因がわかりやすくなってきたので、さらに適正な対処方法も教えてくれるようになるといいですね。自分だけの知識や経験だと限りがあるので、もっともっと大きくなって、全国の様々な形態の牧場でのユーザー同士での情報交換ができるようになるといいなと思っています。
最後に、今後の山岸牧場様のビジョンを教えてください
牧場の良さや牛乳の美味しさを知ってもらい、消費者にとってより身近な牧場になることです。そのためにも牧場体験の充実も含め様々なツールを利用して酪農の魅力を発信していきたいです。そして、そういった活動が酪農だけではなく農村や農家の価値を高めることにも繋がっていってくれると嬉しいです。
海外ではその国にあった独自の酪農スタイルを確立していると思いますが、日本のスタイルはまだ確立出来ていないと思います。
自分達に合った、日本の酪農の新しいかたちをFarmnoteを使って創っていきたいです。
搾乳牛の牛舎にて。搾乳牛の牛舎にて。

(終)

株式会社 山岸牧場

経営形態 酪農、さくら工房(自家製ヨーグルト製造販売)
規模 乳牛300頭、デントコーン40ha、採草地30ha
Farmnote導入時期 2015年3月
本社所在地 北海道十勝士幌町
創業
事業内容 乳牛の飼育、自家製ヨーグルトの製造販売、バイオガスプラント
従業員規模 7名(2016年4月時点)
URL http://www.sakura-koubou.jp/
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About Farmnote

株式会社ファームノートは酪農・畜産向けクラウドサービスに特化したITベンチャーです。「牧場を、手のひらに。」をビジョンに、いつでもどこでも牧場経営が出来る世界を目指しています。酪農・畜産業界の経営効率化をITで推進します。

Farmnote、ファームノートは株式会社ファームノートの登録商標です。

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株式会社ファームノート
〒080–0847 北海道帯広市公園東町1丁目3-14

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